易経実践家 飯田吉宏公式ホームページ

時中と時流

 易経が教える時と変化でお伝えしたように、

易経はその時々に応じた最適な意志決定を私たちに教えています。

 

四季にたとえるなら、

春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬のベストマッチの行動があるわけです。

 

易経は、その行動の事を「時中」という言葉を使って表現しています。

 

 

・時中の定義

 

時中は、易経の六十四個の物語すべてに存在します。

 

時中を詳しく定義すると、

 

「その時の状況・局面に最も適合した判断・行動・出処進退であり、

その時が通るための解決策」

 

ということになります。

 

“通る”とは、たとえば、何をしても上手くいかない八方塞がりの時であっても状況が好転したり、

反対に大成功をしている時には、その状況がもたらす“見えないリスク”を察知して、

危機の回避に成功している状態を指します。

 

時を通すためには、時中ができていないといけません。

 

つまり、具体的に時中を実現することが、その時における命題になるのです。

 

ちなみに、“中(ちゅう)”には、“あたる”という意味があります。

 

的中や中毒の「中」ですね。

 

「中」を漢和辞典で調べると、「命中する」「合う」「かなう」と書いてあります

(新選漢和辞典第7版・小学館)

 

私たちが易経を学ぶ目的は、時の的を見極め、

時中を実行してその時を通そうということなのです。

 

 

・時流に乗る者は時流によって滅ぶ

 

ここまで、時中について説明してきましたが、

似た熟語に「時流」という言葉があります。

 

皆さんは、時流という言葉にどんな印象を持っていますか?

ビジネスでは、しばしば「時流に乗れ!」と言いますよね。

 

私も時流に乗るのは、事業を推進する上で大切な事だと思っています。

 

時代のニーズを読むのは、経営の一要素に間違いないですから。

 

ただし、易経は面白いことに、時流については否定的な意見を持っています。

 

それは、「時流に乗る者は時流によって滅ぶ」という考え方です。

 

これは言い換えると、

 

 

「原理原則をショートカットして成功してしまうと、失墜するのも早い」

 

 

という解釈になります。

 

 

易経の文言伝(ぶんげんでん)という編に、下記の言葉があります。

 

 

「四時(しいじ)とその序を合わせ」

 

 

四時とは、春夏秋冬。循環の法則です。

 

 

要は、それぞれの季節に存在意義があるのだから、

人間もいつも夏のように伸び栄えたり、秋のように収穫することだけを追っていては

崩壊してしまうと警告しているわけです。

 

世の中には、時流を追ったがゆえに

短期間ですべてを失う起業家や経営者が後を絶ちません。

 

もちろん、「利益」を生むのは悪いことではない。

 

ただ、利を生むにも順序というものがあり、

変化の道理を無視してやってしまう(これが易経で言う“時流に乗る”行為)と、

その副作用のために利を失うのも早いよ、という話です。

 

老舗の会社が、流行りモノ(一気に売れて、すぐ廃れる商品やサービス)を

極力作らないのと共通していますね。

 

「時流ではなく、時中を見よ」は、易経を理解する上でのポイントの一つとなっています。

 

 

 

【易経の基礎知識】

 

 

1、易経の歴史

 

2、易経が教える時と変化

 

3、陰陽概念と八卦

 

4、六十四個の時の物語

 

5、時中と時流

 

6、易の三義

 

7、吉凶悔吝(きっきょうかいりん)